人工石と天然石の砥石の違いを調査!見分け方と高級品の判別方法とは?

刃物を研ぐのに使う砥石にも、色々な種類があるのをご存じですか?

以前このブログでも砥石の粒度(研磨剤の粒の大きさ)によって呼び方が
異なる、というのをお話ししました。

「荒砥石」、「中砥石」、「仕上げ砥石」など用途によって選択する砥石
が変わってきます。

しかし粒度以前に「人工」物と「天然」物があるというのをご存じでしょうか。

砥石をご購入される際、「天然砥石」と書かれているものがあって、

 

 「天然てなんだ?どう違うの?」

 

といった疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。

 

そんな方のために今回は人工石と天然石の砥石の違いを調査してまとめました!また、天然砥石の選び方と高級品の見分け方についてもご紹介します。

人工砥石と天然砥石の絵

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人工砥石と天然砥石の材質の違いと性能

砥石は大きく分けて「人工砥石」と「天然砥石」があります。

普段一般家庭で使うものはほぼ全て人工砥石にあたります。まずは人工と天然の材質の違いと特徴を見てみましょう。

人工と天然の特徴比較

種類 特徴 砥粒形状
人工砥石 研磨剤を結合剤でレンガのように固めたもので、アルミナや炭素/ケイ素の結晶粉末でできている。砥粒は均質にできており研ぎ続けても同じ性能を維持。 角のある六角形
天然砥石 海に生息するプランクトンなどの遺骸が化石化して粘土と混ざったもので、数億年かけて海面近くまで隆起してできた層から採掘したもの。出土する層によって異なることから砥粒は使う場所によって異なる。 楕円形状形

天然は人工と何が違う?研いだ時の仕上がり比較

上の表を見るとわかるように、

  • 人工砥石は研磨剤を固めて作った砥石
  • 天然砥石は自然界に存在する積層岩から採掘された砥石

であることがわかります。

人工砥石の方が良いように思えますが、実際使ってみると同じ砥粒の番手(#)<砥粒サイズ>同士では天然砥石の方が刃物の性能が上がる結果となります。

理由は砥粒の形状と硬さにあります。

人工砥石の場合、角のある六角形の砥粒で刃先を削っていきます。
対して天然砥石の場合、丸みを帯びた楕円形の砥粒で刃先を削っていきます。

砥粒に角があるとどうしても細かなキズが刃先には残るので、その分切れ味
が落ちることになります。
丸みを帯びた砥粒で削ると、角がないので研ぐのに時間がかかるものの刃先
にキズが残らない為仕上がりがとても良いのです!

また、砥粒の”削れやすさ”も一因しているといえます。

人工砥石の砥粒は比較的硬くなかなか削れていかないのですが、天然砥石の砥粒は研ぐ際に人工のものより削れやすくできています。それ故、研いでいる最中に砥粒が削れていき、より細かい砥粒が出来上がりそれによって優しく刃を研ぐことになるので、さらに刃先にダメージが残らず均一かつシャープに仕上がるのです。

人工砥石は粒度によって荒砥/中砥/仕上砥と役割を変えているようですが、天然砥石はその性質上、「仕上げ砥石」としての側面が強いようですね。

※仕上げ砥石は、荒砥・中砥で刃欠けや切れ味の低下を修正した後の更なる切れ味向上と持続性を持たせる役割。

高級砥石の判別方法とは?

天然砥石の興味が深まったところで、「天然砥石はどうやって選んだらいいんだろう?」「天然砥石の高級品てどういうもの?」

なんて疑問が出てくると思いますので、その選び方と高級品の判別についてお話したいと思います!

天然砥石の種類

まず最初に言っておきますと、天然砥石といってもピンからキリまであります。

これは、天然の積層岩から採掘されたものであるが故にその出来栄えは「自然の気まぐれ」で決まってしまうからです。

いくら良いと言われている山からとれた砥石でも、たまたま採取した箇所の石が不純物だらけでまともに研げない代物だとしたらいくら天然砥石とは言え使いものになりません(さすがに見た目で悪いものは流通させないと思いますが)。

そもそも採取する地層の成分が砥石の使用に適していないものなら使えません。

天然砥石は採掘する場所によっても性能がずいぶん変わるのです。

天然砥石の名産地

天然砥石は採掘する場所によって善し悪しが大きく変わります。

中でも京都産の天然砥石は「合砥(あわせと)」と呼ばれ、産出される地域の名称が砥石に付いているほどの産地なのです。いわゆるブランドですね^^

特に京都北西部の「正本山」からとれる石は日本の最高峰とされていて、その特殊な積層構造をもつ砥石は人工のものでは真似できないとされています。

このような特殊な地層は京都と滋賀をおいて世界中を探しても他に見当たらず大変貴重なものとなっているのです。

他にも丸尾山の天然砥石は丹波系本口成り(京都東方面の梅ヶ畑)でどの層も当たりはずれが無いことで知られています。

質の良い天然砥石の判別方法

産地である程度砥石の善し悪しは判別できますが、実際に現物を見た際の判定方法をご紹介しておきましょう。

  1. 表面に色の極端なムラがなく形が整っているもの
  2. スジ(筋)があっても刃に当たらないもの (※1)
  3. まったりとして冴えの良い色
  4. ある程度厚みがある石

※1.砥石の中に一筋の異なる色のスジが入っている状態。まわりの砥石の材質より柔らかければ良いが、固い場合で刃に当たるようであればそこだけ削って使う必要がある。

上で紹介したものは、あくまで一般的な天然砥石の見た目での判別方法です。

本当に高級な砥石を判別する場合、結論から言うと

プロでも難しい

ということになります。

これについては、天然砥石がそもそも「当たりはずれが大きい」という点につきると思います。

先ほどお話したとおり、天然砥石は自然が作り出した地層が生み出したものの一部を採掘して取り出したものとなります。取り出した部分の材質の不純物の含有率や成分比率、スジなどの有無によっても価値が異なるため、一見してその性能を見極めるのはプロでも難しいということです。

腕の立つ職人でも、実際に現物を触って使ってみるまでその性能価値はわからないということでした。

天然砥石のお値段

先ほど天然砥石はピンからキリまであるとお話ししました。

実際通常販売されている天然砥石の値段を見てみると、1,000円台のものから普通に買うことができます。

逆に、ホントに高級のものとなると、85万円オーバーのものまであります!

⇒コレもう骨董品とか芸術品の域じゃないでしょうか?(^^;)

 私なら「削って消費する」使い方は怖くてできないとおもいました。。

個人的な砥石を選ぶときの判断基準は「形・厚み・層構造」

実際私自身で天然砥石を買うとしたら、以下の点を判断基準に選びます。

  • 普段使っている砥石の大きさに近い、若しくは刃物の大きさに合ったもの
  • あまり厚みが大きくないもの
  • 層の色合いが大きく乱れてなく層構造がなるべく均一なもの

<形>

天然砥石はばらつきが多く、成型したものやコッパと呼ばれる採掘したままに近い破片形状で売られているものもあります。

形が歪だと作業性が悪く研ぎずらくなることもあるので、できるだけ使い慣れたサイズに近いものを選びたいです。

割れやスジもできるだけ無いものが良いですね。

<厚み>

形状と同じく厚みも砥石によってバラバラですが、私は厚さがあまりないもので十分です。

厚みがあるとその分値段はあがりますし、天然砥石は滅多にすり減っていかず相当長い間使える代物ですので、家庭用の25mm以下もあれば十分かと。

<層構造>

最後に砥石の中間に見える層の構造です。

砥石ですので当然使っていけばすり減っていきますが、天然ものですので使う石の部位によっても研ぎ加減が変わってきます。

砥石の中の構造が極端に変化しているようだと買った時より研ぎずらくなる可能性があります。ですので中間の層構造を見て表面付近と比べて色合いや層の作りが極端に変わっていないかを確認するようにします。

このあたりに注意して選んでみるとそんなに失敗はしないように思います。

あまり厚みがないものであれば、もし”はずれ”を引いてしまった場合でもダメージは少ないので。(薄くても数年は使えるようですし)

まとめ

人工砥石と天然砥石の違い

  • 人工砥石は研磨剤を固めて作った砥石
  • 天然砥石は自然界に存在する積層岩から採掘された砥石

高級砥石の判別方法

  • 産出地によって善し悪しが大きく異なる

品質の見分け方

  • 表面に色の極端なムラがなく形が整っているもの
  • スジ(筋)があっても刃に当たらないもの (※1)
  • まったりとして冴えの良い色
  • ある程度厚みがある石

今回は天然砥石についての性能と品質の見極めについてご紹介させて頂きましたが、最近では人口砥石でもその技術力が進歩してきており天然もの以上の性能のものも出てきています。

逆に天然ものは昭和40年以降採掘停止となったところも多くあり、現在では採掘が継続されているのはわずか数か所のみとなっているため、天然砥石自体の値段が上がっているというのが現状です。資源には限りがあるのです。

天然砥石は一部の愛好家が好んで使うにとどまっている、というのが現状ですが、もし天然砥石に興味を持って使ってみたいと思われたなら自分に合った石を探して使い倒してみるのも良いのかもしれません。

天然砥石で高級品にこだわらずとも安くても十分いいものはあるので、先ほどの判別方法を参考に選んでみるのもよいかと思います。

是非参考にされてみてはいかがでしょうか♪

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